海を越え 咲くだろう

台湾音楽チャートの第35週(8月最終週、と書く方が日本人には馴染みがあるだろうか)、J-POP部門でL'Arc〜en〜Cielの「NEXUS 4 / SHINE」が初登場一位、DVDチャートで「TOUR 2007-2008 THEATER OF KISS」が2位を獲得したという記事が、L'Arc-en-Ciel MySpaceブログに掲載されていた。

コメント欄を覗いてみると、果たしてアジアや欧州、北米、南米といった世界各地のFanから「Congratulations!(おめでとう!)」の嵐である。台湾Fanからは、なんと「また台湾へ来てくださいね」という日本語でのコメントまで寄せられていた。

いちFanとして、海を越えた土地でラルクの成し遂げた偉業にささやかながら賛辞を送りたく思うのと共に、1年前にはこのような状況を想像すらしていなかったことを思うと、隔世の感にも似た思いを抱かずにはおれない。去年の今頃は己が積極的にラルク情報を収集していなかったという事実もあるにせよ、MySpaceという公的な存在で海外Fanの生の声を味わえるようになったという事態は、日本人Fanの視点にもパラダイム転換を促すものであると思う。

もちろん、台湾に限らず日本国外でのラルクFan層というものは、時間をかけて拡がっていったのであろうし、J-POPを含めた日本のポップカルチャーが世界に浸透していった過程には、数多くの先人が築き上げた様々な歴史が存在している。

だが、時をさらに遡って、例えば10年前。《3枚同時》の旋風が吹き荒れた1998年の夏の終わりの自分に

「10年後にはラルクアメリカ公演やアジア公演、フランス公演をやっているよ。夏の新曲は台湾チャートで1位獲得だってさ」

などと囁いてみたところで、一体何を訳のわからないことを言っているのか、誇大妄想にも程がある、と睨まれるのが関の山であっただろう。自分に限ったことではなく、果たして当時の日本のラルクFanで、2008年の状況を予見していた人間などいたのだろうか?(※もしも予想していた、という方がこの記事を読まれておられたら、「ご慧眼、恐れ入りました」と言う外ありません)

けれど、もしかしたらラルク側ではそれを、予感あるいは確信していたのかもしれない。アルバム「ark」と「ray」を日本、台湾、香港、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピンのアジア7カ国で同時発売し、衛星放送を通じて、東京ビッグサイト駐車場特設ステージの「1999 GRAND CROSS TOUR」を台湾、香港、中国に生中継したのはもう9年も前のことだ。あの時もhydeは繰り返していた。「ニイハオ!」、「アジア!」という呼びかけを、その時はラルクのLIVEに参戦することなどほぼ不可能だった、海を越えた遠くの土地の人々へ。

海外各国でもCDをヒットさせ、LIVEを行える状況の築かれた現在。来春発売予定という《奇跡》と《禁断》の「TOUR 2008 L'7〜Trans ASIA via PARIS〜」ドキュメンタリー・ストーリーは、一体どのようなラルクの物語を見せてくれるのだろうか。