2008/10/22 Zepp Tokyo

前日に続いての参戦にして、もう最終戦。これまでに繰り返しHYDEが言ってきた「悔いを残すな」を胸に臨む。この日のトートは青、ストッキングはピンク。購入はしていないが、記録までに。

2008年10月22日(水)
VAMPS LIVE 2008
Zepp Tokyo

***

[SET LIST]

Opening Act. MONORAL

01. LOVE ADDICT
02. MADE IN HEAVEN
03. DOLLY

[MC]

04. SWEET VANILLA
05. TIME GOES BY
06. I CAN FEEL

[MC]

07. evergreen [DIST.]
08. JESUS CHRIST
09. COUNTDOWN
10. IT'S SAD
11. PERFECT MOMENT
12. FAITH

[MC]

13. HELLO
14. HIDEAWAY
15. MASQUERADE
16. GLAMOROUS SKY

[MC]

17. Lucy in the Sky with Diamonds (Cover: THE BEATLES, with MONORAL)
18. THE BEAUTIFUL PEOPLE (Cover: Marilyn Manson, with MONORAL)

[MC]

19. MIDNIGHT CELEBRATION

この日はH800番台のチケット。最前ブロックに行こうか少し迷ったが、バー近くの位置を確保できたため、2ブロック目にて待機。後で気付いたが下には柵があるようで、これはもう入場は規制されていたということだったのだろうか。

17時台には入場できていたので、18時頃登場のMONORALを最初から体験することができた。近くで見ると、二人とも実にスタイルがいい。以前、JaMEインタビューで言及していた《アラビアン・メタル》の「Casbah」を最後にやってくれて嬉しかった。アザンを思わせるイントロが、なるほどアラビアン。

18時半頃、MONORALは下がって、再び幕にデジタル表示の時計。この時点で倒れる&運び出される人間がいるのはどうなのかと思いつつ待機。《6:66:00》へのカウントダウンとレーザーの演出の幕開けから、いきなり「LOVE ADDICT」! 最初なので周りの押しもあってあまり動けず(そういう位置だったのだが)、暴れ方を模索しているうちに終わってしまってやや残念。どちらかと言えば中盤に来てくれる方が、ノリ方が掴めているのでいいような気がした。

MADE IN HEAVEN」、「DOLLY」という流れは前日と一緒だ。Zeppに鳴り渡る激しい音の演奏に乗せて、吸血鬼や人造の魂を歌うHYDEの声は今日も調子がかなり良さそう。

ここでまた、HYDEのMC。「待ってたか、東京!」という辺りは普通だったのだが、「噛み付いてやるぜ! …『ちょうだい』って言って、『HYDEのちょうだい』って」という展開になったらもういっそ、「ちょうだいー!!」と声を揃えて叫び返すほかはない。

MCに続いては「SWEET VANILLA」、そしてメロディアスなギターの美しい「TIME GOES BY」。照明を落とされた「I CAN FEEL」の時には、背後の壁に浮かび上がるように《the fate》、《the truth》、《melting》、《I can feel》といった歌詞に登場する言葉が映し出され、雰囲気を盛り上げる。ライヴハウスであるにもかかわらず、まるでホール会場であるかのような凝った演出。こういう風にZeppを使えるところも、この《滞在型LIVE》の利点なのだろう。

クールダウンした後、またのHYDEのMC。大阪辺りからPS2が楽屋に設置され、「みんゴル」をやっているという話。だが、K.A.Zはその存在を気付いていなかったらしい。この時、HYDEが《K.A.Zくん》と呼びかけているのが、なんだかとても微笑ましかった。確かこの時だったと思うのだが、HYDEが何かの話題をK.A.Zに振り、K.A.Zが喋ってくれるかと期待したのだが、結局はHYDEによる「嬉しいそうです」という通訳(?)で終わったのがいささか残念。

リラックスして、というHYDEの曲紹介に続いて聞こえてくるのは、お待ちかね「evergreen [DIST.]」だ。日本語だと判っていたので、今日はただじっくり、浸って聞くことに全力を傾ける。この曲で、HYDEの歌声と演奏と絡み合うK.A.Zのギターも格別だ。昨日聞き取れた《ずっと》の繰り返しを確認、そして今日は最後の最後に、《さよなら》という言葉が追加されていることも発見できた。

 This scenery is evergreen 愛しい人よ さよなら

ライヴアレンジなのかもしれないが、この日の《さよなら》は低めに、最後にひっそりと歌われる感じ。たったふたつの言葉ではあるが、曲想にぴったりと合った日本語を入れてきて、新たな[DIST.]を聞かせてくれるところはさすがだと思った。

そして鳴り響く激しいイントロ。長いアレンジにかなりしばらく何か判らなかったのだが、なんと「JESUS CHRIST」だ! HYDEソロ曲の、現時点でのNo. 1とNo. 2が続けて聞ける日が来ようとは…! といっても無論、この性格の異なった二曲であるので、連続していたというよりは「JESUS CHRIST」から新たな局面が始まったという印象だった。そこからヘヴィで危険な世界へと連れ出されるように、「COUNTDOWN」、「IT'S SAD」。ステージ近くで体験するとますます、水の中にいるような気分にさせられる「PERFECT MOMENT」でまた少しクールダウン。

続いてはなんと、HYDEソロ曲No. 3の「FAITH」だ! さすがに前回ツアーのタイトル曲であったので、VAMPSでは出てくるだろうかと思っていたので、近距離であの迫力を味わえるのが嬉しい。キリストの受難を歌うHYDEの決意に満ちたようなヴォーカルが、何よりも印象的だった。

Ju-kenが言いたいことあるみたいだから、という紹介で、ここでのMCはベースのJu-ken。暴れてるか、1F! 2F!? などという力強い煽りで一層盛り上げる。Ju-kenのステージを見るのは今回が初めてだったのだが、実に良く動き回る、暴れ回る、自己主張の激しいベーシストであったことにびっくりした。そして彼のそのワイルドな雰囲気が、VAMPSのアグレッシヴさと実によく噛みあっていて、大いに盛り上げてくれていたように思う。サポートという立場ではあるが、今後のVAMPSとの絡みも実に楽しみだ。

盛り上がったまま、明るい光で「HELLO」。飛び跳ね、声を上げて歌う。「HIDEAWAY」、「MASQUERADE」とその勢いは止まらない。そして…いつか聞きたいと願い続けていた「GLAMOROUS SKY」が、ついに!! 眩しい光に包まれたステージでギターを奏で、伸びやかに歌うHYDEの姿が何よりも嬉しい。原曲は愛聴していたのだが、さすがと言おうか、不思議なほどに違和感なく聞けた。

ここでいったんメンバーは下がり、アンコール待ち時間に。「VAMPS!」コールがそこかしこで聞こえてくる。待機時間はそう長くなく、再びライトアップされたステージに、MONORALメンバーも含めた人々が出てきて…と思ったら、後方がなにやら騒がしい。振り向いて見上げたそこには、なんと2F席右側、前日にK.A.Zの立っていた位置で、ギターを持ったHYDEの姿が!! そんな配置で、アンコールは「Lucy in the Sky with Diamonds」から。Anisがメガホンを持って楽しそうに歌っていたりしたのだが、ついつい振り向いて首を伸ばして2Fを注視してしまう。近くのFanはHYDEに触れたりもしているようで、正直うらやましすぎる。

前日のK.A.Zと同様に、2Fでの演奏は「L.S.D.」一曲のみ。HYDEがステージに戻ってきて、「THE BEAUTIFUL PEOPLE」。MONORALのバンドメンバーの水鉄砲にJu-kenのピコピコハンマー、メガホンを共有しながら絡むHYDEとAnisの姿など、これまた見所満載。

そしてまた、HYDEのMC。もう一暴れしよう、などと煽り、本日のお気に入りなのか、「HYDEのちょうだい」を再び客に言わせる(もちろんこちらは、声を揃えて叫ぶ)。最後の曲「MIDNIGHT CELEBRATION」は近くで見ると一層、(悪い意味ではなく)支離滅裂感が半端ではない。ぐるぐるとステージ上を揺れ動く裸電球、もうもうと焚かれるスモーク、暴れ回るメンバー、激しい演奏…。残響がわんわんと耳の奥で鳴り響く狂乱のまま、最前列の人々の差し伸べる手に触れたりしながら、HYDEはステージを去って行ったのだった。

以下の写真はせっかくなので載せておく、携帯による終演後のZepp Tokyoと、会場を出て貰ったHYDE画伯の手によるカバー絵のDI:GA。VOL.156なのは偶然なのだろうか。この写真ではよく見えなくなってしまっているが。

――この2日間のVAMPS LIVEへの参戦を通して、印象に残ったものは《安定感》である。これまでの《HYDE》名義によるソロワークではなく、K.A.Zとのユニットである《VAMPS》という形。これまでのHYDEソロでも大きな位置を占めていたK.A.Zを、公的にも対等な存在として隣に置いているという事実が安心感をもたらすのか、今までに見てきたソロでのHYDEよりも気楽な立場にいるように感じられた。

VAMPS LIVE 2008でのHYDEは、《666》、《FAITH》時よりも、ラルクでのhydeを見ている感覚にやや近くなったというか…無論それは観念的な《立ち位置》の問題であって(一人で全てを背負ってステージに立つ、という訳ではないというような)、VAMPSを含めたソロ活動で志向している音楽性については、L'Arc〜en〜Cielでの活動とは一線を画すものであるという、棲み分けのブレは感じられない。活動の指針をクリアに保ったまま、さらなる高みのステージへ。それを可能にしたのが《相棒》K.A.Zの存在であることは、改めて述べるまでもないだろう。

今回、私が参戦できたのはツアー最終公演地である東京、そして6日間中の3、4日目という真ん中の日程だったせいもあるのかもしれないが、MONORALやサポートメンバーを含めた一団の《バンド》としての完成度が高まっていることも印象的だった。決して悪い意味ではなく、LIVE中、曲を聞いていてなんとなく先の展開が読めてしまう。

がつんと攻撃的にスタートして、駆け抜けるように何曲か。中盤では静かな曲を挟みつつ、時にはまた盛り上げ、一旦退場。そしてアンコール、暴れて次で最後の曲と。そういった《定型》の存在をラルクではよく感じていたのだが(ただしL'7日本のセットリストには本当に驚かされた。「REVELATION」から始まる時点でもう予測不能だ)、HYDEソロのLIVEでは覚えがなかった感覚なので、少し不思議に思えもした。こちらの慣れという要因もあるにせよ、おそらくそれは今はVAMPSという名前になったHYDEソロの歴史の積み重ね、そして志を同じくする、K.A.Zをはじめとする《盟友》達とのコミュニケーションが深まったことによるものなのだろう。

幸運にも参戦できた10月のLIVEは、VAMPSの進む方向の正しさを確信できた2日間であったように思う。安定と充実と、飛躍の予感。冗談でも無謀な空想でもなく、(既に進出は果たしているのだが)日本を離れた、言葉の違う土地でLIVEを行っても、彼らなら間違いなくそのパフォーマンスで人々を熱狂させることができると思えた。おそらくは次の動向となるであろう海外ツアーの発表を切望しながら、私なりのVAMPS LIVE 2008の記録を終わることとしたい。