L'7パリ参戦記・前編
これは欧州在住の日本人が、いかにしてL'7 Parisに辿り着き、そこで何を見、何を感じたかの記録である。
あらかじめお断りしておくが、当参戦記にラルクそれ自体についての記述はほとんどない。有益な情報になりうるものと言えばむしろ、日本人から眺めた欧州Fan事情についての考察、あるいはヨーロッパ個人旅行に関する覚書であろうかと推察されるので、その辺りをご了承頂いた上での閲覧を、切に願うものである。
「あなたの世界はとても理解できない。私はただパリでのラルクについて知りたくて来たのに」
という向きにおかれては、どうか当日のLIVEレポやメンバーMCについて記した他記事を参照されたい。
ボンジュール・ラルクアンシエル??
パリ公演の第一報を目にしたのは、YouTubeのコメント欄においてだった。
あれは、1月の最後の晩。冬の帰国時に行けたTHEATER OF KISSが果たして最高すぎたため、欧州に戻ってからもラルク熱が下がらぬまま、YouTubeをあれこれ巡って、PVか何か(忘れた)を見倒していたところ。新規の英語コメントで「ラルクは4月、5月と中国やフランスでLIVEをする予定だ」というようなものを見つけた。
正直、初見では「何の悪い冗談? まだエイプリルフールには早いでしょ?」と疑いモード全開だったのは、長年のFanとしてどうなのかと、自らに問えば返答に詰まるところではある。だがその後、次々に更新される日本人Fanのブログ記事、またLE-CIELに入っている友人からの連絡などにより、2008年春の、パリ公演を含むL'Arc〜en〜Cielの海外進出情報が、紛れもなく真実であることを確認したのである。
何故また、この時期に海外ツアー? その割に、アジア外の遠征地はフランス・パリのみという選択の意義は? 様々な疑問が渦巻くものの、とにもかくにも、そう私の心はひとつ。
行 か ね ば な ら な い 。
拠点確保
チケット入手方法の詳細などは不明ながら、公演日は明らかとなっているので、ともかくこの日程の周辺でパリに宿を確保しておくべきだろうと、旅行の手配に入った。幸い、パリには欧州暮らしを始めてから何度か訪れたことがあったので、土地勘は多少ある。
だが、そもそもLIVE会場である「ルゥ ゼニット アリーナ」というのは、一体どこなのだろうか? 手持ちの「地球の歩き方 フランス」を取り出して折込の地図を広げてみたところ、所謂《観光地》であるパリ市中からやや離れた北東の端に、それらしきものを見つけた。ラ・ヴィレット(科学・産業シティ)なる地域の一角にあるらしい。以下は地球の歩き方より、一部抜粋。
ラ・ヴィレットLa Viletteは、ミッテラン大統領が推進した「グラン・プロシェ(パリ大改造計画)」の一環として再開発された、未来志向の総合スペース。(中略)音楽博物館やコンセルヴァトワール(パリ音楽院)、ライブホールのル・ゼニッツなどを含む音楽シティCite de la Musiqueと、ラ・ヴィレット公園Parc de la Villette、多目的ホールなどがある。
…お台場や大阪南港のようなものだろうか。つまり《ライブホール》と書かれている会場は、ZEPPのようなものということなのだろうか。
わかったような、わからないような気分になりながらも、地図をじっくり眺めてみる。近くに駅のある、利用可能なメトロは5番線か7番線。これらからの連絡の良さと、RER(高速郊外鉄道)を利用した空港からのアクセスの便利さもあって、宿泊場所はパリ北駅「Gare du Nord(ガール・デュ・ノール)」周辺に狙いを定めた。
なお、ホテルの選択等に関しては、ヨーロッパの格安航空会社ガイドサイト「Flying Cheap!」内の、「Cheap! hotels」のコーナーにお世話になっている。
ホテル予約サイトをあれこれ見比べてみたが、結局「Venere」利用で北駅すぐのホテルを取ることにした。この際、個室で寝られれば良いというレベルでの選択。シャワー、トイレ付きのツイン3泊、朝食は抜きで約210ユーロ。一人一泊、5600円と言ったところであろうか。
ちなみにフランス、特にパリ旅行時にはホテルは朝食別のところをお勧めする。何故ならば個人旅行で泊まるレベルのホテルの朝食はそこまで大したものではないが、街に出れば、朝からカフェやパン屋は各種営業しており、焼きたてのパンや絞りたてのオレンジジュースといったものを手軽に味わえるからである。これが不思議なことに、隣国ドイツに行くと、貧乏旅行レベルでもホテルの朝食は豪華で楽しめるものが用意されているのであるが。
中編に続く。