あの日を忘れない

フランスの大手ファンサイト「Laruku-Fr」では先日の改装後から、TOPに《always remember 09/05/08》という言葉を刻んだ星型のデザインがあしらわれている。L'7パリ公演の行われた《2008年5月9日》を、「いつでも覚えている」あるいは「ずっと忘れない」――そんな思い故の宣言であろう。

余談ではあるが、欧米式の年月日の表記では《日/月/年》とするのが一般的であり、日本人の感覚からすると逆になっているので、戸惑いを覚えることも多い。日本でよく使われる《20080509》といった並びも、今いち理解されにくい傾向があるようだ。特に、西暦の上二桁を抜かして《080509》と書くと、ほぼ間違いなく《2009年5月8日》のことだと思われてしまうので、その辺りの意識の違いというものには注意を喚起しておきたい。

2008年5月9日、様々な理由によりL'Arc〜en〜Cielというバンドに興味を持っていた欧州の人々がパリに集い、そしてラルクが彼の地に輝かしい足跡を残した、忘れえぬ記念日。直に体験するラルクのLIVEに魅了された人々は、「ヨーロッパに来てくれてありがとう」、「素晴らしいステージをありがとう」、「長い間、夢見ていたことが現実になった」そんな思いと共に、その日付を宝石のように心に抱く。

欧州Fanが持つのであろうそのような感情とはいささか異なるが、自分にとっても《2008年5月9日》は、ラルクFan暦の中でも忘れられない記念日的な日付となっている。海外在住者として過ごす日々に訪れた、まさかの大本命バンドの欧州公演。あの日、あの場に居たという記憶は、LIVEそれ自体以上の意味を持つものだ。

そんな風に、異境での毎日を暮らす私には「NEXUS 4」を《宇宙初》に聞き、「LORELEY」や「TIME SLIP」を2008年のラルクの演奏で味わい、メンバーの日本語MCを楽しみ、(幕間ラブストーリーに5万人で脱力をした!)日本のFanの皆様がうらやましくて仕方がない。もちろん、己の持つ様々なしがらみを天秤にかけ、《日本凱旋公演に行く》という選択肢を選ばなかっただけであるので、「行きたかったのなら、参戦すれば良かったじゃない」と言われれば、返す言葉もないのが実情である。

けれどそんな羨望の念よりもむしろ、己の心境が《always remember 09/05/08》というメッセージに込められた海外Fanの思いに近いことに気付いた時、日本と欧州の遠さというものにただ思いを馳せる。そして、ひとつの問いかけを呟いてみたくなる。

――あなたには、いつまでも忘れられないLIVEの日付がありますか?